死刑以上の罰 (マリアリ…だと思う)
注意:この話は「挙式」の一部ではありません。
    最初ひぐらし用に作ったものを書き直したものなので
    もしかしたらどこかで見たことがあるかもしれませんが……。
あと、魔理沙好きの方はご注意、というより回れ右でお願いします。では!


………………………………………………

その部屋には、「鬱」の空気が立ちこめていた。…とはいえそこにいたのは
桂言葉ではなく、ある意味ではこういう空気が一番似つかわしくない少女…
霧雨魔理沙だった。

「…………………………」
何を言うでもなく、沈痛そうな表情で辺りに目をやりながらため息を吐き出す。
そもそもどうして、彼女がこんなことになっているのかと言えば……


数日前

“やっぱり魔理沙、ここにいたのね……!”
“お? アリスじゃないか。どうしたんだよ?”
EDF駐屯地の魔理沙の部屋に、アリスが息を荒げながら飛び込んできた。

“言わなくても分かるでしょ!? その魔導書を返してって言ってるじゃない!”
“固いこと言うなって。こいつを試すまで借りてるだけだからさ!”
アリスは興奮して詰め寄るが、当の魔理沙は逆に本を手元にしまい込んだ。

“そういうことじゃないの! その魔導書は危険だからって封印された禁断の
 封印呪文集なのよ! 危ないからやめてって、何回も言ってるじゃない!”
“へへっ。私をそこら辺の魔法使いと一緒にしてもらっちゃ困るぜ? さーて
 準備完了。……ジュデッカ・アンテノーラ・トロメア・カイーナ……、って!?”
しかし魔理沙が怪しげな呪文を唱えた瞬間、彼女らの目の前に巨大な火の玉が出現し

“な、何だよこれ!? これが……!?”
“だから言ったじゃない! 早く逃げ……”

しかし時既に遅し。彼女たちが逃げるよりも早く火の玉は大爆発を起こし
黒煙と騒ぎを聞きつけた面々の怒声の中、結局二人して病院に担ぎ込まれた。

……………………………………………

“…今回は、流石にただ頭下げて済む問題じゃないよな…。どたばたして確認は
 出来なかったけど、あれだけの大爆発だからまず間違いなく大怪我させちゃった
 だろうし……。 ……どうやって、謝ればいいんだ……?”

その大爆発の中で奇跡的にほぼ無傷だった魔理沙は、爆発事故の報告を終えると
担ぎ込まれた病院の待合室で、アリスが手術室から出てくるのを待っていた。

「……やっておいて何だけど、本当に…、無事でいてくれ……! アリス…!」
魔理沙が固く目をつぶって祈るように顔を伏せたその時、手術室のランプが消え
中から勢いよくアリスを乗せたストレッチャーが運び出されてきた。
「! アリス! アリスッ!!」
思わず駆け寄る魔理沙。しかし彼女は目に入ってきた、全身を包帯で巻かれ
変わり果てたアリスの姿に絶句した。
「そんな……! おい、アリス? アリス!?」
何度か呼びかけてみるも、麻酔のためかアリスは目を覚まさない。そのうちに
ストレッチャーは病室の中に運び込まれ、後には魔理沙が一人残された……。

「あんな、酷い怪我…。私が…、やった……」
思わず呆然となった魔理沙は、それだけ呟くのがやっとだった。


「アリスは何回も忠告してくれてたってのに……、救いようがないな、私は……」
後悔に沈む魔理沙だったが、この後に更なる追い打ちがかかることになる。
病院にアリスの様子を見に行ったとき、彼女の担当医がこう言ってきたのだ…。

“な、何だって!? もう一回言ってくれ!今言ったのは…本当なのか!?”
“え、ええ…。アリスさんは命に別状はありませんが……、一つ。彼女は顔面の半分に
 真皮まで達するほどの酷い火傷を負ってしまっていまして……、失明は免れた
 ものの、非常に残念ですが…、まずこちらの回復は不可能だと思われます……”

……………………………

“どうすりゃ、いいんだ……?”
魔理沙はただ呆然と座って、天井を惚けたように見ていた。

“……顔が半分焼けただれた? しかも治らないだって? …こんなの、女にとっちゃ
 死刑宣告も同然じゃないか…!  

…とりあえずやったこと自体はあくまで事故扱いになり、そういう意味のお咎めはなかった
ので本題はこちら、謝罪と各種弁償になるだろう。…これが完全な偶然の事故だったら
まだよかったかもしれない。しかし今回は、結果は偶然とはいえその過程はほぼ完全に
魔理沙の過失による代物。それも一生残る大きな傷を負わせてしまい……。
取り返しのつかない過ちとは、正にこのことを言うのだろう……。

“…アリスはそこまでこだわる奴じゃないけど、今回はそうもいかないよな…。魔導書も
 服も、そして 『あいつ自身』 も…。理由はどうあれ、あいつの大事なものを根こそぎ
 焼き尽くしてしまったからな……。…本当に、どう償ったらいいんだ…?

…そして今日、魔理沙はそのためにここに…アリスの病室に来ている。
今彼女は外で診察中なので、帰ってくるのを待っていると……
…やがてアリスと医師のものだろう、足音が近づいてくると魔理沙に緊張が走る。

「……………………!!」
…本来なら嬉しいはずのアリスとの再会も、今は魔理沙の歯を、足を、全身をかたかたと
小さく震えさせる。もう壁に穴を開けて、箒に乗って飛び出したい衝動を抑えつつ待っていると
何事か喋っている声が聞こえた後に、とうとう扉が開かれた…。

「…………………………」
入ってきたのは当然と言うべきか、この部屋の現在の主のアリス。半分が包帯で覆われた
その顔は険しく、魔理沙の顔を確認するとより一層のものになった。

「あ、アリス……」
「……わざわざこんなところまでやってきて……、どうしたのかしら……?」
顔のみならず、患者着から見え隠れする腕や足の包帯。心苦しそうに魔理沙が声をかけるも
しかしアリスは目を合わせずにベッドに入り、口を開いた。


「何って、その……、分かるだろう? 今回のことだけど……、本当に…すまない…!
 取り返しのつかない…、とんでもないことをしでかして、本当に…申し訳ない……!」
「………………………………」
魔理沙が立ち上がって半泣きになりながら頭を下げるも、対するアリスはただ黙っている……。

「私……、どんなことでもするからさ…! …こんな酷いことしちまったから、謝罪も
 賠償も……、何でも、するから……!」
「へぇ? “何でもする” ですって……?」
するとようやく、今まで何の反応も見せなかったアリスが魔理沙の言葉に反応した。

「え? あ、ああ……」
彼女の反応が思いもよらなかったのか、思わず魔理沙はたじろいだ。

“何でもするとは言ったけど、何をするつもりなんだ…? 同じ目に遭わされる? 金銭?
 謝罪? あるいは……。もっとも、どんな罰が来たところで拒めるはずもないけど…な…”

これから起こるだろう展開に、魔理沙がごくりとつばを飲み込むと
「…何を警戒しているの? 別にあなたが “何でもする” って言ったところで、私は
 あなたに自殺しろとかそんなことを言うつもりはないわよ。そんなことをしたって
 何の解決にもならないからね……」
「確かにそうかもしれないけど……。じゃあ、一体……?」
魔理沙が尋ねると、アリスは深く深く脱力するようにため息を吐いた。

「…じゃあ、言うわ。私の要求は一つ。それは……

 この事故に関して、訴えもしなければ賠償請求もその権利を放棄して
 慰謝料も謝罪も、一切を必要としない。  ……これが、全てよ……」


「え……? ど、どういう意味だよ……?」
「聞こえなかったの? つまりあなたに何をするつもりもないって言ったんだけど…?」
魔理沙は一瞬聞き間違いではないかと、自分の耳を疑った。しかしアリスの返答は
先程と同じ、淡々とした素っ気ないものだった……。

「え…? な、な……?」
当然と言うべきか、魔理沙は戸惑いを隠せなかった。 …自分も女だから分かる。
女の命とも呼べる顔に、回復不可能な酷い傷を負わされたらどうなるか。
自分がもし被害者になっていたとしたら、…そんなもの、ただですますはずがない。相手が
泣き叫ぼうが許しを請おうが徹底的に復讐して謝罪させ、土下座させる。つまり女が顔を
傷つけられたら、憤激と言わんばかりに激怒するはずなのに……。これまでの関係が
どうあれ、簡単に済ませられる問題ではない。なのに目の前のアリスは一体…? 

「…何? そんなに不思議なことなの? …じゃあ、教えてあげるわ……」
何も言えずに固まっている魔理沙に対して、アリスはまたため息を吐き出した。

「……簡単な事よ。要するに私はあなたと二度と顔を合わせたくない。それだけのこと。
 考えれば分かることだけど、これから例えば私があなたに色々要求したら、私は何度も
 あなたと顔を合わせる羽目になるわ。…偶発的なものならまだしも、半ば確信犯的に
 私に大怪我を負わせて、しかも顔に消えない傷を刻みつけてくれたあなたと…? 
 ……冗談じゃないわ。どうせお金をいくら積まれたところで私の顔が戻るわけでもないし
 顔を合わせればその度に思い出す羽目になるもの。…それなら、戻らないならさっさと
 関係を消滅させたいっていうこと。……忘れたいのよ。まさに一刻も早く……、ね」

「う…! う、うぅ……!」
アリスの言葉に、魔理沙は何も返答することが出来ずに小さくなった。…確かに、彼女が
どれだけ何をしようがどんな厳罰を受けようが、アリスの顔は元に戻らない……。
魔理沙が絶句していると、アリスは尚も続けた。
「そして、謝罪に関してだけれどね。これが一番要らないものなの。だってそうでしょ?
 何せ “謝罪” なんてものはあなたの…、加害者のためだけに作られた腹立たしいこと
 この上ない、いわば免罪符なんだから……。 どれだけとんでもない罪を犯したとしても
 事件は加害者の “申し訳ない” の一言で終わってしまって、世界はそのたった一言だけで
 解決を認め、その瞬間に加害者の悔恨は雲散霧消するのよ。傷を負った側…被害者が
 その後どれほど凄まじい苦悩に苛まれるとも知らずに……ね」

「…そ、そんなことない! 私はこの事を忘れるなんて、そんなことは…!!」
暗に攻撃を受けて思わず反論する魔理沙。しかしアリスは態度を崩さない。
「…吸血鬼DIOじゃないけど、無駄よ、魔理沙…。あなたがどれだけ言っても無駄なのよ。
 時間が経てば、あなたからはこの事件の記憶は絶対に風化して消えていく。絶対にね。
 風化して忘れ去って、“何事もなかったように” あなたはまた元通りに戻るでしょうね……」
「な……!? ど、どういう…!?」
「知りたい? 簡単な事よ。…あなただって楽しい思い出は簡単に思い出せても、自分にとって
 思い出したくない嫌な記憶ほど思い出せないって言うことはあるでしょう? これは心理学
 用語で “抑圧” って言うらしいんだけど、とにかくこの抑圧、今回の事件にも当てはまるのよ。
 あなたにとってこの事件は、正に “思い出したくない嫌な記憶” になるわ。だから時間が経つに
 連れて、あなたの頭からはこの事件の記憶がどんどん消え失せていくのよ…。あるいは
“自己正当化”。事件から時間が経って都合の悪い記憶が薄れると、これまた本能的な働きで
 あなたの頭は自分が正しいように記憶の再構築を始めて、こう考え始めるでしょうね。
 
“私はそんなに、悪いことをしたのか? アリスだって腕や足が吹っ飛んだわけでもないし……
 …そもそも、あいつがそんな危険な魔導書を持っていたのが悪いんじゃないか!” …って、ね。

そしてまた『死ぬまで借りるだけ』 なんて言いながら、他人の持ち物に手を出してトラブルを
作って、発覚したり咎められたらその場しのぎの謝罪をして、無反省……。これが関の山。
分かるでしょう? 結末が見え透いているのに、誰がうわべだけの謝罪なんて……。あなた
みたいな加害者の 『一生反省します』 の言葉なんて、どれほど信用ならないものか……!」
そう言うアリスは言葉こそ平坦だったが、その目には魔理沙への憎悪が色濃く宿っていた。


「な、な、何言ってるんだよ!? そんなの…、絶対に! 絶対にない!」
魔理沙は青ざめながら反論するも、アリスの反応は相変わらず変わらない。

「ふふっ。そもそもあなたが今私に必死に謝っているのだって、それは私に悪いことをしたと
 思っているから謝っているんじゃなくて、私の赦しがないと体裁が悪くなるからでしょう?
 何も出来ずに時間が経てば経つほど、周りからの視線は冷たくなっていくから……
 さっさと片づけないと大変なことになっちゃうから、今必死に謝ってるってことよね?」
「違う…! 違う!! 何で…そんなこと言うんだよ…!? 私は本当に、心から済まないと
 思ってるんだぜ…? なのに、どうして……?」
魔理沙はもはやすがるような目つきになっていたが、しかしアリスは構わず叩き伏せる。
「違わないわ。…だったら今から一ヶ月前、あなたが私の別の魔導書を焼いてしまって
 もう二度とこんな真似はしないなんて言って謝ったことは、どう説明するの…?
“もう二度と、こんな真似はしない”…? 確かにある意味ではその通りだわ。今度はより
 酷く、私を丸焼きにしてくれたんだから。…しかも再三危ないからやめてって言ったのに
 全部無視してくれて…。…どこが反省しているのかしら? ピラミッドで裁きを受けてきた
 とか何とか言ってたけど、結局その性根までは治らなかったみたいね……」
「!! あ、あれは……!」
痛いところを突かれたと魔理沙の顔が苦しそうに歪む一方、アリスは淡々と続けた。
「ね? だから賭けてもいいわ。これから先…、早ければ一週間、遅くても一~二ヶ月で
 あなたからこの事件の記憶は薄れ始める。まずは日付や時間からかしらね。そうして
 一年も経てばこの事件のことを完全に忘れ去るわ。悔恨の気持ちなんてどこへやら。
 その頃になったら私がこの事件のことを尋ねたら、あなたが表面はどうあれ心の中で
 どう感じるか、今からでも目に見えているわ……」
アリスはそこで歯を食いしばると、開いている方の目で魔理沙を強く睨みつけた。

『あの事件は、もう終わったんだ。せっかく忘れることが出来たのに、何で今更
 蒸し返すんだよ。こいつって実際はしつこくて嫌らしい奴だな。見損なったぜ……』

 “人間は、『与えられた』怨念は一生消えないが、『与えた』怨念はすぐに忘れる”
ルネサンス時代のイタリア外交官・マキャヴェリの言葉よ……」


「う……! あ……」 
先程とは一転、魔理沙は小刻みに震えだした。焦点の合わない目を大きく見開き
歯をがちがち鳴らしながら、はぁはぁと荒い呼吸をする。

「…ね? 所詮 “やった側” の意識なんて、そんなものよ。だから謝罪なんて要らないって
 言ったの。所詮あなたの言う “謝罪” なんてものは、“霧雨魔理沙の体裁を取り繕う”
“霧雨魔理沙の罪を意識もろともチャラにする”  それら以上の意味はなく…。…それなら
 そんな謝罪もどきなら、最初から行われない方が遙かにマシなのよ。何度も注意したのに
 ろくに耳を貸さず、挙げ句一生ものの傷を負わせてくれただけじゃ飽きたらずに、まだこれ
 以上私を虚仮にするつもりなの? …そう。だから私は服や魔導書の修繕費とかもあなたに
 要求するつもりはないの。たとえ全部また揃えるのに数十万、いえ数百万円かかったとしても
 あなたから “偽善の” 施しを受けるよりは遙かにいいからね……。

“これだけあげるから、これ以上騒がないでくれ。終わったことにして静かに暮らしてくれよ…”

 こんなものを受け取るくらいなら、私は素直に死を選ぶわ。どうせ今はすまないと思っていたと
 しても、さっきも言った通り、しばらく経ったらその反省の気持ちがどうなるかは火を見るよりも
 明らか。 さぁ謝罪も弁償も終わったぞ。全部忘れてまたやり直そう! …ってところかしら?
 ふふ、ふふふ……。笑わせてくれるよね、本当に……」

…………………………………

「う、うぅ……、やめ、やめて……、もう、やめて……くれ……!!」
いつの間にか魔理沙は頭を抱え、先程よりも激しくぜいぜい息をしながら
今にも引きつけを起こしそうな勢いで、全身をがたがた震わせていた。そんな
魔理沙をアリスは、まさしく身の毛もよだつような冷たい視線で見つめながら言った。

「……さてと。魔理沙? 被害を受けた側の私が伝えるのはこれで全てよ。
 前にも言ったけど、これ以上私はあなたに何かしら干渉するつもりはないわ…。
 だからこんな 『あなたにとっては取るに足らない』 事件の事なんてさっさと忘れて
 せいぜい平和な日常を取り戻すがいいわ……。あなたにはまだそのための機会が
 羨ましくも忌々しくも……、不公平にも残されているんだから……。

 いいものよね? “やり直しが出来る” っていうものは?
 何せ私は…被害者は一生、背負い続けるんだから。あなた達加害者が理由は
 どうあれ犯してくれた凶行の傷を、生涯……、物理的にも精神的にもね……
 どうせまたこれにも懲りずにやらかすでしょうから、覚えておくといいわ。そこに
 加害者の偽善の象徴 “謝罪” なんてものが入る余地なんて、隙間ほどもないことに…

 いいものよね? “生まれ変わることが出来る” っていうものは……?
 こっちはもう引き返しの命綱が他でもないあなたの手によって、完全に断ち切られて
 しまっているんだから……
 

「あ、……ああ、ああ……!!」
アリスが話し終えた後の魔理沙と言えば、……もう、言うまでもない。
顔面は青ざめるのを通り越して真っ白。焦点の合わない、涙のたまった目を大きく
見開いて、言葉にならない…、ひゅうひゅうと息を吐き出して硬直していた。

「これで、以上よ……。…ああ、あなたの今後のことなら心配しなくていいわ。私は退院と
 同時にEDFも退団するつもりだから。そりゃこんな顔じゃ居続けたってどうなるか
 言わなくても分かることだしね…。勿論皆にもこの真相を暴露するとか、そんなくだらない
 ことをするつもりはないわ。あなたの手の届かないところで、一人で暮らすとするわね…
 それじゃ、私は寝るからお引き取り願うとするわ。ふふふふ……」
アリスはそのまま小さく笑うと、魔理沙に一瞥もくれずにベッドの中に潜り込んだ……。

…………………………………………

「……………………」
後に残された魔理沙と言えば、力無くふらふらと病院を出て、ぬけがらのような
空虚な表情で歩いていた……。

これが、全身を丸焼けにされた方が、皆の前で散々に罵倒されていた方が……
どれほどまだ楽だっただろうか? もしくはアリスの言葉を文字通りに受け入れる
ことが出来たら、どんなに良かっただろう? とはいえそれが出来てしまうようなら
もはや人間ではない、正に鬼畜と呼ぶにふさわしい存在になり果ててしまう。
だが、アリスの “真意” を受け入れるとなると……

「本当に……、どう…すりゃ……」
すると今にも倒れそうに危なっかしく魔理沙が歩いていると、誰かにぶつかった。

「ちょ、ちょっと魔理沙さん? どうしたんですか? 探しましたよ?」
「え……」
見上げたその先には、心配そうな表情をしている言葉の姿が。

「言葉……、お前……?」
「もしかしてこの間の事故の関係で、何かあったんですか? 確かに色々大変なのかも
 しれませんけど、ちょっとは休んだ方がいいですよ…? 私が言うのも何ですけど
 魔理沙さん……今にも倒れそうな顔してますから…、? って、魔理沙さん…?」
突然動きが止まった言葉。見ると、目の前の魔理沙がぼろぼろと涙を零して

「言葉……! う…、うわ……、うわあああああぁぁぁぁぁぁ……!!」
「ま、魔理沙さん!?  魔理沙…さん……!?」
倒れ込むように言葉にしがみつき、大声で泣き始めた……。


続く
斜刺
2008年09月01日(月) 16時53分44秒 公開
この作品の著作権は斜刺さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
良識ある人間に与える罰として、最も過酷なものは……?
答えは、何もしないこと。

こんな一説をどこかで見たのがきっかけですかね。こちとら野郎ですので
顔を傷つけられた女性がどんな気持ちになるのかは完全に理解することは
出来ませんが、まぁそこまでずれてないかな……?

今回は初めてのマリアリ(と言えるのか怪しいところ)ですが、この続編は
きっちりいつもの古城メンバーが絡んできます。特にリョウとDIOが大活躍。

次回はアリス救済ルート。しかし魔理沙の方は今のところ断片的なプロットは
あるけれど、どうしよう……

この作品の感想をお寄せください。
機会があったのでもう一回読みに来た。

…何回読んでも胸が痛くなる。
「過失」ってある意味一番恐ろしいことなんだよね…。
50 MAKIO@SS管理 ■2008-11-09 17:26:13 220.109.139.203
最終鬼畜(てか最初から
アリスだな・・・
あれ?目から液体がGGG
魔理沙の立場だったら
鬱ティウンティウンしてるな
50 鬱な名無し ■2008-09-16 03:55:14 202.253.96.249
 これはハッピーエンドにせずひたすら鬱ロードを突っ走っても良いのではないでしょうかw それもまた一興! 50 NA☆NA☆SI ■2008-09-02 06:37:52 122.133.59.198
許せないからこそ許す
許されない罪を犯した「人間」に対して許すことが最大の罰
自ら罰を求める人には死刑すら救いになるだろう
だからこそ許せ それがその者を永遠に貶めるだろう


ぎゃああああ、自分が魔理沙の立場になったら絶対自害しますよ・・・!!
女性にとっては顔は勿論髪も大切なのです。
アリスは妖怪だからなんだかんだで助かりそう その医者は間違いなく三流だ
BJを呼べ!なんならエーリンを呼べ!もしくはry

にしても糞甘い小説の次がこれかよ斜刺さん・・・!見境無しかwww
30 暮雨 ■2008-09-01 19:35:44 119.30.207.106
なんでしょう…。物書きでもない名無しが言うのもなんですが、レベルが上がってますね。心理描写、セリフと描写のバランス、全てにおいて感服です!…すっごい鬱展開でしたが。

これ、ハッピーエンドの予定なんですよね?と不安にもなりました。鍵を握るは古城メンバー。もはやすっかり仲良し六人パーティですな。昨日の敵はなんとやらなくらいに。
どう助かるのか、全く想像つかないだけに楽しみです。

気長に待つのも投稿小説の楽しみの一つ。wktkせざるを得ない!
50 初回から見てる名無し ■2008-09-01 19:25:21 124.83.159.145
合計 230
過去の作品なので感想を投稿することはできません。 <<戻る