【デュエルSS】暇だったのでデュエル動画を撮ってみた
ニコニコ荒野エリア。
茶色い不毛な大地と険しい山々がどこまでも続く。
ドアラとの激戦を終えたナイスミドルのマリオ、覆面男のスパイダーマン、
強靭無敵最強の海馬、暴歌ロイドのキーボードクラッシャーは
Fooさんからの連絡が来るまでの間、しばしの休息を取っていた。
そこへ突然、暇をもてあましたクラッシャーがとある提案を持ちかけたことから物語は始まる。
「なぁみんな、聞いてくれ。」
「なんだ、クラッシャー?」
「暇だから動画でも撮ろうぜ!」
クラッシャーの提案にまず、マリオから答える。
「おお、いいな。俺は監督やるわ。」
「カメラの撮影を立候補する男、スパイダーマッ!」
次々と役割が決まるが、海馬がもっともな疑問を投げかける。
「動画だと?何の動画を撮るつもりだ?」
「え~っと、それは…そのぅ…。」
しばし悩むクラッシャー。どうやら『動画を撮る』ことしか考えていなかったようである。
そこへマリオが助け舟を出す。
「そういえば、海馬はカードをたくさん持ってるよな。
 何枚か貸してやったらどうだ?」
「ふぅん。デュエル動画を撮ろうというわけか。面白い。
 我が海馬コーポレーションの宣伝にもなるな。」
「イェアアア。話は決まったな。早く準備をしようぜ!」
「だが、カメラがないぞ。」
「海馬かクラッシャーは持ってないか?」
「俺持ってねーよ。」
クラッシャーは首を横に振る。
自分で『動画を撮ろう』と言っておいて、このありさまである。
マリオ達はすっかり肩を落としてしまった。
「こんなこともあろうかと、ビデオカメラを持ってきている。
 それにデュエルディスクもカードも揃っている。充分だろう。」
「おお、さすが海馬だ!助かったぜ!」
「ホァァァ!じゃあ、好きなデッキ組ませてもらうぜ!」
といいつつ、カードを漁り始めるクラッシャー。
すぐさま海馬に「汚したらバーストストリーム」と脅され、しぶしぶ慎重な手つきでカードを選んでゆく。
「じゃあダーマ。撮影はよろしく頼む。」
「任せる(ろ)ッ!」

しかし、スパイダーマンはカメラの操作にまだ慣れていないらしく、撮影は難航した。
「あれ!?もう写ってるのか?コレ。」
「オイ!俺を写してどうする!」
「アッ!許せッ!」
カメラの操作方法、撮影の仕方、方針などの入念な打ち合わせを行う。
そして提案から数時間後、ついに本番を迎えた。

<ここからは会話を中心にお送りします>

キーボード・クラッシャー(以下KBC)
「やあみんな!久しぶりだね!
 今日は趣向を変えてカードゲームに挑戦するよ!」


マリオ「(ノリノリだな。)」
スパイダーマン「(かなり慣れているな。)」


KBC「モンスター達の死闘を描いた作品!デュエルモンスターズ!
 今回はギャグはなしだ!ぶっ殺してやるぜ!ヘヘヘww
 ちなみにカードは友人から借りたぜ!」
海馬「キサマがどんな手で挑もうとも、オレの闘いのロードを踏みにじらせはせん!」
KBC「ヘヘ、インターネットで見つけた俺の最強デッキでぶっ殺してやるぜ!
 行くぜ!デュエル!」

海馬 LP4000
 VS
KBC LP4000


マリオ「(さぁ、始まりました。)」
スパイダーマン「(これから始まるデュエルの撮影をする男、スパイダーマッ!)」


海馬「行くぞ!先攻ドロー!
 リバース・カードを1枚セットし、ブラッド・ヴォルスを召喚!
 ターンエンドだ。」
海馬 モ1枚、伏せ1枚、手札4枚 LP4000

KBC「俺のターン、ドロー。
 モンスターをセットしてターンエンドするぜハァハァ」
KBC モ1枚、伏せ0枚、手札5枚 LP4000
海馬 モ1枚、伏せ1枚、手札4枚 LP4000

海馬「クク…どうした。攻めて来なければ勝てんぞ。」
KBC「イヤァー、慌てんなって。
 (お得意の罠に引っかかるわけにはいかねェよ……。)」


マリオ「(お互い慎重だな。)」
スパイダーマン「(絵的に悪い裏守備でも意味ありげにUPで撮る男、スパイダーマッ!)」


海馬「ならばオレのターン、ドロー!
 バトルフェイズ!ブラッド・ヴォルスでそのモンスターをねじ伏せてくれる!」
KBC「バーカ!墓守の偵察者だよ!ww」

 ブラッド・ヴォルス ATK1900 × 墓守の偵察者 DEF2000
 海馬 LP4000→3900

KBC「エヘヘヘッヘッヘッへwwあーおかしっwwっふぉっふぉwww」
海馬「ぬぅぅ…姑息な壁を…。」
KBC「イヒヒヒヒww
 偵察者のリバース効果で偵察者をもう1体表守備で特殊召喚するぜ。」
海馬「(オレの場には死のデッキ破壊ウイルスが伏せてある。
 コンボの布石は整ったが、まだコマがない…。)
 オレはこれでターンを終了する。」
海馬 モ1枚、伏せ1枚、手札5枚 LP3900
KBC モ2枚、伏せ0枚、手札5枚 LP4000

KBC「さぁて、目に物見せてやるぜ。ドロー!
 偵察者1体を生け贄に邪帝ガイウスを召喚!」
海馬「ガイウスだと…!」
KBC「ガイウスのモンスター効果発動!フィールド上のカードを1枚選んで除外する!
 伏せカードを除外するぜ!」
海馬「く…ちょこざいな真似を…!」
KBC「バトルフェイズーッ!
 ヴォルスちゃん、氏ねーーーッ!」

 邪帝ガイウス ATK2400 × ブラッド・ヴォルス ATK1900(破壊)
 海馬 LP3900→3400

海馬「おのれェェ!クラッシャーごときがこのオレに傷を負わすとは…。」
KBC「ヒヒヒwwターンエンド。」
KBC モ2枚、伏せ0枚、手札5枚 LP4000
海馬 モ0枚、伏せ0枚、手札5枚 LP3400

海馬「一向にカードを伏せる気配がないとは…。
 手札事故でも起こしたか。」
KBC「ヘヘヘw人の心配するなら自分の心配しろよww」


マリオ「(クラッシャー、なんか腹立つな。)」
スパイダーマン「(勝利に固執するデュエリスト…許せるッ!)」


海馬「オレのターン、ドロー!
 X-ヘッド・キャノンを召喚!
 バトルフェイズ!X-ヘッド・キャノンでガイウスを攻撃!」
KBC「ちょwww攻撃力負けてるだろwwww」
海馬「ククク…何の策もなく攻撃すると思ったか。
 ダメージステップ時に手札から収縮を発動!キサマのガイウスの攻撃力は半減する!」
KBC「な、何だってーー!」
海馬「爆殺せよ、X-ヘッド・キャノン!」

 X-ヘッド・キャノン ATK1800 × 邪帝ガイウス ATK1200(破壊)
 KBC LP4000→3400

海馬「邪帝ガイウス、爆☆殺!」
KBC「おわぁっ!オワアアアァァァァ!」
海馬「さらに手札から未来融合-フューチャー・フュージョン-を発動。
 融合素材モンスターをデッキから墓地に送ることで融合モンスターを融合召喚するカード。
 俺が選択するのは青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン)。
 よってデッキから素材となる3体の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を墓地へ送る。
 リバース・カードを1枚セットしてターンエンドだ。」
海馬 モ1枚、伏せ1枚、魔法1枚、手札2枚 LP3400
KBC モ1枚、伏せ0枚、手札5枚 LP3400

KBC「むかつくよな、やられるって。
 やられるってことは負けるってことなんだよーッ!
 あああああぁぁぁ!むかつく!ドローッ!」
海馬「れれれ冷静になれ。」
KBC「手札から黄泉ガエルを捨てて、ライトニング・ボルテックスはつどーーーッ!」
海馬「何っ!またしてもオレのモンスターが……。」
KBC「へへヘヘヘへ!ww
 すっかり気分爽快だぜ!」
海馬「ぬぅぅ…。除去にばかり頼る臆病者が!」
KBC「(偵察者は守備表示じゃないとやられるからな。)
 モンスターをセットしてターンエンド。」
KBC モ2枚、伏せ0枚、手札3枚 LP3400
海馬 モ0枚、伏せ1枚、魔法1枚、手札2枚 LP3400

海馬「一向に攻撃をする様子も、カードを伏せる様子もなくただ守るだけか。
 キサマ、何を企んでいる!?」
KBC「へへ、今に分かるよ。」
海馬「ふぅん。勝手にほざくがいい。
 (攻撃しないことで1ターン生き延びたようだが、オレの伏せたカードは聖なるバリア-ミラーフォース-。
  どんなモンスターを出そうが、このカードで粉砕してくれる。)」


マリオ「(6ターン経過…。ライフが並ぶとは面白い。)」
スパイダーマン「(クラッシャーはカードも伏せずに何をしているのやら。)」


海馬「オレのターン、ドロー!
 ブレイド・ナイトを召喚!
 バトルフェイズ!ブレイド・ナイトでキサマが伏せたモンスターの息の根を止めてやる!」
KBC「うはwwwおkwwwwコイツはネクロ・ガードナーだぜ。」

 ブレイド・ナイト ATK1600 × ネクロ・ガードナー DEF1400(破壊)

海馬「ネクロ・ガードナーだと…?妙なモンスターを入れているな。
 まぁいい。オレはこれでターンエンドだ。」
海馬 モ1枚、伏せ1枚、魔法1枚、手札2枚 LP3400
KBC モ1枚、伏せ0枚、手札3枚 LP3400

海馬「次のターン、アルティメットがキサマの眼前に現れる。
 よくその目に焼き付けておくことだな。」
KBC「俺のターンだな。ドロー!
 スタンバイフェイズに俺の魔法・罠カードゾーンにカードがない場合、
 墓地の“黄泉ガエル”が“蘇る”wwアハッハッハッハッwww」
海馬「なるほど。そのためにカードを伏せずにいたということか。
 クラッシャーのクセに姑息な真似をする…。」
KBC「黄泉ガエルちゃんを生け贄に氷帝メビウス召喚!
 その未来融合と伏せカードをぶっ壊す!」
海馬「く…。ミラーフォースが破壊されたか…。」
KBC「バトルフェイズ!
 メビウスでブレイド・ナイトを攻撃ーッ!
 運動会プロテインパワーーッ!」

 氷帝メビウス ATK2400 × ブレイド・ナイト ATK1600
 海馬 LP3400→2600

海馬「おのれェェ…!」
KBC「これであんたの身を守るモンスターはいなくなった!
 メビウスに対抗できる下級モンスターはない!
 俺の勝ちだアアアァァァァ!」
海馬「フ…それはどうかな…。」
KBC「イェアア。俺はターンエンドだ。」
KBC モ2枚、伏せ0枚、手札3枚 LP3400
海馬 モ0枚、伏せ0枚、手札2枚 LP2600


マリオ「(追い詰められてよくあんな台詞を吐けるな。)」
スパイダーマン「(盛り上がるデュエルを黙々と撮影する男、スパイダーマッ!)」


海馬「オレのターン。ドロー!」
KBC「何引いても無駄無駄!」
海馬「ククク・・・。キサマに拝ませてやろう。
 このデュエルモンスターズにおいて、脈々と語り継がれる最強のモンスターの姿を。
 手札から魔法カード、死者蘇生を発動!」
KBC「ホアアアアァァァァ!?」
海馬「このカードにより、オレが墓地から特殊召喚するのは当然、このデッキ最強のモンスター!
 見るがいい!これが至高のモンスター、青眼の白龍!」
KBC「キタ━(゚∀゚)━━!!!!!」
海馬「たかだか攻撃力2400のモンスターを従えたぐらいでいい気になるな!
 ブルーアイズの攻撃力は3000!キサマ自慢の帝モンスターもこの攻撃で滅殺してやる!」
KBC「やれるもんならやってみろよーーッ!
 そのキレイな顔を吹っ飛ばしてやるゥーーッ!」
海馬「バトルフェイズ!
 覚悟しろ!青眼の白龍の攻撃!
 滅びのバーストストリーム!」
KBC「イヤァー、かかった!
 墓地のネクロ・ガードナーの効果発動!
 コイツを除外してブルーアイズの攻撃を無効にしてやんよオオォォォォォーーッ!」
海馬「なにっ!」
KBC「アンタのことだからハァハァ、いつかブルーアイズを出すことは読んでいたぜハァハァ。
 ただ、1回のドローで蘇生カードを引き当てるのは驚いたがな!」
海馬「まぁいい。だが、この状況が圧倒的不利であることは変わるまい。
 リバース・カードをセットしてターンエンドだ。」
海馬 モ1枚、伏せ1枚、手札1枚 LP3000
KBC モ2枚、伏せ0枚、手札3枚 LP3400

KBC「ヘヘヘへwwドロー!
 スタンバイフェイズに黄泉ガエル特殊召喚!
 今、俺の場にモンスターが3体並んだぜ、イヒヒヒヒヒヒヒwwww」
海馬「3体のモンスターを生け贄にする気か…?
 バカな!そんな召喚条件のカードはなかったハズ……!」
KBC「フフフ…たしかにな。
 だが、3体のモンスターを生け贄にすることで効果を発動するモンスターがいる。
 神獣王バルバロスを召喚ホアアアァァァ!」
海馬「8ツ星モンスターを3体の生け贄で召喚だと!?」
KBC「コイツの攻撃力もブルーアイズと同じ3000!
 でも、コイツは3体の生け贄を捧げて召喚すると、相手のフィールド上のカードを全て破壊する!」
海馬「……!」
KBC「さらにコイツは攻撃力が1900になる代わりに生け贄なしで召喚もできるのさ。
 どうだ。同じ3000でもこーんなに能力が違うんだぜ、ヒヒヒヒヒヒww
 俺に言わせりゃブルーアイズなんて、実戦では使えない単なる観賞用のカードだね。」
海馬「戯言をぬかすな!
 キサマにはオレのデッキ…そしてブルーアイズのことも何も理解していない。」
KBC「戯言かどうかはこいつを食らってから考えな!
 バルバロスの効果発動!イスラエルにトルネードスピィィィン!」

海馬「クク…そうはいかんな。」
KBC「何?ブルーアイズが消えて……ホアアアァァァ!
 どこ行くんだバルバロス!?巻き込まれるぞ!」
海馬「キサマがバルバロスの召喚に成功した時、速攻魔法を発動した。
 速攻魔法、エネミーコントローラー発動!
 ↑↑←→A!」
KBC「エネミーコントローラー?」
海馬「このコマンド入力により、オレのブルーアイズを生け贄とし、
 キサマのバルバロスをオレの手駒とした。」
KBC「え…?」
海馬「しかもオレのフィールドは、バルバロスによって破壊し尽くされる直前。
 つまり、キサマのバルバロスは自身の効果で破壊されることになる!」
KBC「エエエエエエエ!」
海馬「ブルーアイズを生け贄に捧げるなど、屈辱の極み。
 しかし!キサマにむざむざと破壊されるくらいなら、オレ自らがその命を断つ!
 ワハハハハ!死ねぇぇ、バルバロスゥゥッ!」
KBC「イ゛ヤ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァ!」
海馬「神獣王バルバロス、自☆滅!」
KBC「オーホホホホ!デュエルオワタ\(^o^)/」
海馬「まだキサマにはカードを伏せることができる。
 さぁ、伏せるがいい。悪あがきにはなるだろう…。」
KBC「俺が自分の動画で負けるってのか!クソうぜぇぇぇぇあくぇdrftgyふじこlp!
 リバース・カードを2枚セットしてターンエンドッ!」
KBC モ0枚、伏せ2枚、手札1枚 LP3400
海馬 モ0枚、伏せ0枚、手札1枚 LP3000


マリオ「(おおおお!10ターン目にしてなんだ、この燃える展開は!)」
スパイダーマン「(次がラストドローの確率75%!)」


海馬「オレのターン、ドロー!
 だが何を伏せようと無駄なこと。手札から大嵐を発動!」
KBC「イィィヤあああああぁぁぁぁぁぁーーーーッ!」
海馬「さらに手札から魔法発動、龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)!
 このカードでフィールド、墓地の融合素材を除外し、ドラゴン族の融合モンスターを特殊召喚する。
 オレが除外するのはもちろん、墓地に眠る青眼の白龍3体!」
KBC「イヤアアァァァーーッ!いやああぁぁぁーーーーッ!」
海馬「見るがいい!
 これが史上最強、絶美の究極モンスター!
 青眼の究極竜だ!ワハハハハハハハハハ!」
KBC「ふっとんでくたばってしねやあああああああぁぁぁぁぁぁぁ……。」
海馬「バトルフェイズ!これがラストターンだクラッシャー!
 ダイレクトアタック!アルティメット・バースト!」
KBC「ホアアアアアアアァァァァァ!」

 青眼の究極竜 ATK4500 ダイレクトアタック
 KBC LP3400→0


マリオ「(おおおおおおおおおおおおおおおおお
    おおおおおおおおおおおおおおおおお
   おおおおおおおおおおおおおおおおお)」
スパイダーマン「(大おお大尾おおおおおおおおおおおおおおおおおおお
    大おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
      大おお大尾お大おおおおおおおおおおおおおおおおおお)」


KBC「チキショオオオオォォォォ!
 なんで勝てないんだ!
 イヤアアアアァァァ!」
海馬「レアカードに傷がついたわ!カスめがぁ!」
KBC「天皇陛下ばんざああああぁぁぁぁぁい!」


マリオ「いかん!早くカメラ止めろ!」
スパイダーマン「暴力シーンがいきなり登場し、慌ててカメラを止める男、スパイダーマッ!」


かくして、クラッシャーの突然の思いつきから始まったデュエル動画撮影は
クラッシャーの敗北、しかも対戦者同士の暴力沙汰という波乱の形で幕を下ろした。
「お、お疲れさん…。」
「クラッシャーはまだ気絶しているようだ。」
「青眼の白龍が観賞用になるなどありえん!オレが持つ限り――闘いの中でこそ輝く!!」
そう言い残し、海馬はクラッシャーが暴れたことによって散らばったカードを片付け始める。
「カードには優しいな。」
「だが、海馬が片付けているとシュールだ。」
と笑いつつ、スパイダーマンとマリオも後片付けを手伝う。
クラッシャーのデッキを集め終え、確認をしているとそこに異変が。
「なんだ!カードが1枚スパイダーマンのD○カードになっているぞ!
 おのれェェ何者だ!」
「ハハハハ!すり替えておいたのさ!」
裏向きのカードを海馬に見せつけ、勝ち誇った顔のスパイダーマン。
「キサマの仕業か、スパイダーマン!
 許さん!さっさと返せ!」
「カード狩りの男!スパイダーマッ!」
口上を述べて踵を返すと、脱兎のごとく逃げ去るスパイダーマン。
それを般若の形相で追いかける海馬。
こうして、そのまま二人は追いかけっこに突入してしまった。
その光景を口を開けて呆然と眺めるマリオ。傍らには殴られ過ぎて気絶したクラッシャー。
「お前ら、もう動画を撮ることなんてどうでもよくなってるだろ…。」
思わずマリオは溜め息をつきつつ、ぽつりとつぶやいた。

大騒ぎしながら時間を潰す荒野組を尻目に
荒野の空は、雲ひとつなく青く澄み切っている。
この空の向こうは他の仲間達の場所にも繋がっているのだろうか。
また、仲間達は何をしているのだろうか。
その答えに関してはまた別のお話。







<デッキ解説>
今回使われたデッキの解説、補足説明文を書いておきます。
蛇足に近い上に恐ろしく長いですが、遊戯王を知らないけどどういうデッキなのか知りたい人や
遊戯王OCGの奥深さに触れたい人、調べるのが面倒な人などもいるはずと思い、
自分の持っている知識を振り絞って書いてみました。
遊戯王GXで言う「今日の最強カード」をくどくしたようなものです。
少しでも皆さんの知識の肥やしになっていただければ幸いです。
本編は終了しましたので、いらない方は飛ばしてくださってけっこうです。


海馬のデッキ
おなじみ【青眼の白龍】。
高パワーで制圧し、ブルーアイズでトドメを刺すというなんとも海馬らしい豪快なデッキ。
ブラッド・ヴォルスなどの時代遅れのアタッカーの他、収縮やエネミーコントローラー、
死のデッキ破壊ウイルスなどの現在も使われているカードが入っており、意外と実用的。
青眼の白龍は通常モンスターのサポートが増えているものの、やはり時代遅れ感が否めない。
ネタ、ファンデッキとしては良質な素材であるものの、現実的にはやはり観賞用のカードである。
未来融合と龍の鏡は本来入っていないはずのカードなのだが、物語の演出上投入させている。
詰めの一手で決めた大嵐→龍の鏡のコンボ。実はゲームの海馬が似た使用法をしている。
知る人ぞ知る「遊戯王DM6 EX2」の積み込みワンターンキル(以下1キル)である。
大嵐、サンダーボルトで場を一掃してから、デビル・フランケンで青眼の究極竜を特殊召喚し、
巨大化を装備して一撃で“安全に”ゲームエンドに持っていくもので、俗に「社長1キル」と呼ばれている。
上記ゲームでは海馬がこのコンボを初手で決めることが多いため、積み込みをしているものと思われる。
コナミは1キルに厳しいため、現在はキーカードの禁止、制限などで環境が整備されて
なかなか決まらなくなっているものの、今なお1キルデッキのお手本的存在となっている。
主な亜種としてはレベル8モンスターをサイバー・ツイン・ドラゴンに突然変異させる【変異サイドラ】、
終焉の王デミスで掃除した後で大型モンスターを展開する【デミスドーザー】、【デミスガイア】など。
決まった際の見栄えはいいのだが、相手の戦術を著しく無視しているため、
特にシングル戦をメインとしている対戦環境では非常に煙たがられている。
この物語ではLP4000のルールを採用しているので巨大化がなくても勝ったものの、
LP8000のルールでは耐えられる上に返しのターンに黄泉ガエルが再びやってくるため、
また帝で除去されたかもしれない。
このように1キルコンボは、1ターンでトドメを刺せないとあっさり切り返されることが多いため、
確実に一撃で決められる時に攻めに転じるのがコツである。
原理こそ単純なものの、相手に対策を打たれると危険な上に事故も多いため、
意外と構築センスとテクニックがいるため1キルデッキとは本来、上級者向けのデッキなのである。
使い古された1キルテクほど嫌われるが、
斬新な1キルテクは喝采ものなので興味があれば挑戦して欲しい。

余談だが、この物語のモデルとなった海馬VSウィラーでの海馬の
対戦相手であるウィラー・メットのデッキは、
ホワイト・ホーンズ・ドラゴンとドラゴニュートを中心としたドラゴン族デッキでありながら、
海馬への対策カードを積んだメタデッキになっている。
対戦後も解説役を務めたことから、見た目よりも頭脳派らしい。
海馬の戦術を読み、うまいことメタカードを投入している点から、実はメタデッカーなのかもしれない。
単に、海馬がバカ正直に一つのデッキしか使わないからメタられたのかもしれないが。


キーボードクラッシャーのデッキ
どんな相手とも効率よく戦える【帝コントロール】。
自分の思い通りに行かなければ気がすまない人、とにかく勝ちたい人にはおススメのデッキである
(もっとも、遊戯王がカードゲームである以上、全て思い通りに行くことなどまずないが)。
ネットで見つけたと言っていたところから誰かのデッキのトレース(平たく言えばテンプレデッキ)なのだろう。
だが、クラッシャーは初心者なので全体的にプレイングが甘いところがある。
物語では生け贄、生け贄召喚と言っているが、
現在はリリース、アドバンス召喚に変更されているので注意すること。
物語のように、黄泉ガエル等によってリリース要員を確保し、
帝をアドバンス召喚することでアドバンテージを稼ぎつつ殴り勝つという、非常にシンプルなデッキである。
上級モンスターを積む分、
事故も相当なものなので投入する帝の数はよく考えよう(メジャーなのは4~9辺り)。
上級モンスターによる制圧が目的のデッキであるため、
殴り勝つという意味でのビートダウンデッキと言うよりも
場を破壊しつくして制圧する意味でのコントロールデッキに近いため、
帝デッキの総称は【帝コントロール】と呼ばれる。
基本は必死こいてリリース要員を守り、ただポンとアドバンス召喚をすればいいだけな上に、
帝のカードパワーの高さのおかげで初心者でも扱いやすく、対応力の高さから上級者にも愛用され、
様々な亜種が存在するデッキジャンルである。
主な亜種としてはコントロールを奪うことをメインにした【洗脳(奪取)帝】、
蘇生しやすいアンデット族を中心とした【アンデット帝】、
除外で相手のデッキを封殺しつつ、異次元の偵察機などをリリース要員にする【次元帝】、
リバース効果モンスターでアドバンテージを稼ぎ、
それをリリースしてさらにアドバンテージを稼ぐ【リバース帝】、
墓守の偵察者、キラー・トマトなどのデッキから特殊召喚できるリクルーターで
場持ちをよくしてそのままリリース要員にする【リクル帝】など。
他にも様々な亜種が存在するが、ほとんどが上記の亜種からの派生である。
世界大会の上位のほとんどが【帝コントロール】で占められたことがあることなどからも、
いかに帝が強力かつ魅力的であるかが伺えるだろう。
あまりにもお手軽にアドバンテージを得られるため様々なデッキに投入されることが多く、
遊戯王オンライン動画等では「ウザイ」「萎える」「また帝か」などの否定的な意見が目立つ。
それでも、遊戯王において「上級モンスター召喚」は華であり、「除去して殴る」は基本であるため、
その流れに忠実な【帝コントロール】はまさに遊戯王を代表するデッキジャンルとも言える。
現在はそれよりも簡単にアドバンテージを稼げるカードがあふれてきたため下火になっているものの、
今なおトーナメントクラスで活躍できる万能デッキである。

なお、物語でのバルバロスの末路に関して疑問に思った人もいるだろうが、ルール上可能である。
補足すると、文面には「相手フィールド上の全てのカード」と書いてあるため、
全てのカードが対象ではあるものの、特に対象を指定していない。
つまり、自分のバルバロスが相手に奪われた場合、
バルバロスも「相手フィールド上の全てのカード」のうちの一枚に数えられてしまうのだ。
これを応用して、例えば相手のミラーフォースを受けた時、
エネミーコントローラーによって攻撃表示モンスターをリリースして相手の攻撃表示モンスターを奪えば、
少なくとも2:2交換に持ち込むことができる、と言った使い方もできる。
エネミーコントローラーを使う上での有効なテクニックの一つなので是非とも覚えておこう。
この他にもエネミーコントローラーができることは多いため、
投入しても特に圧迫を感じない優秀なカードである。
速攻魔法による除去を考える場合、収縮と月の書、エネミーコントローラーの投入を中心に考えるとよい。


最後まで読んでくれてありがとう(´^ω^`)ノシ
NK
2008年06月01日(日) 00時23分08秒 公開
■この作品の著作権はNKさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
お絵かきBBSの542のログを見ていたら思いついた作品です。
誰かやるかな~と思っていましたが、いないようなので自分で書いてみました。
ここはニコニコRPGのwikiなので、関係のない遊戯王のSSはやはり邪道でしょうか…。
まぁ、それ以上に文章力に不安ありなのですが。
元ネタはお絵かきBBSのログ542と遊戯王Rの海馬VSウィラーです。
本当は誰かに「ブルーアイズなんて~」というくだりを言って欲しかっただけだったり(苦笑

やはりダメだった場合は消します。
好評でしたら、また誰かを対戦させてみます。

この作品の感想をお寄せください。
KBCのセリフで笑ってしまうw
遊戯王のカードのルールなど知らなくても楽しめました
50 なまえない ■2008-06-09 22:25:53 219.1.115.70
 GJです! なるほど、こんな事があったのですね……そして確かにクラッシャーの最後のプレイング甘いかもw 「インターネットで見つけた俺の最強デッキ」がツボでしたwww

↓2 あの時ガイウスは闇モンスターを除外してないのでノーダメージですぜ。
10 NA☆NA☆SI ■2008-06-04 22:32:48 125.198.42.196
おあああ!まさかあんなのをSSにしてもらえるなんて光栄です!!w
ターンエンドするぜハァハァがなんかツボにはまりましたw
なんだかんだ一旦はクラッシャーがいつもの悪役のごとく優勢なのがよくわかってるな!と思いました!GJ!!
50 ねこ ■2008-06-01 15:25:31 118.106.249.50
GJです!
デュエル後がシュールw
ガイウスの効果ダメージは1000のはずですが
50 名無し ■2008-06-01 14:15:19 59.136.120.232
おお!あの待機漫画の荒野組のSS化ですな。
GJ!お見事です。
KBCのテンションとRネタに吹きましたw
50 名無し ■2008-06-01 05:46:26 220.214.88.105
まさかあのイラストの裏にこんな熱い決闘があったとは!
GJ!
社長1キルに泣いた俺が通りますよ。
10 通りすがりの名無し ■2008-06-01 01:23:59 121.116.10.140
合計 220
過去の作品なので感想を投稿することはできません。 <<戻る